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今日は本当は、久々に待ち合わせをしていた。
12月に入って片山は明らかに忙しくなり、週末もまともに会えていなかった。
何度か、待ち合わせて職場のそばで夕食を食べたけど、どちらかの家に泊まったりする余裕はなさそうで、当たり障りない会話だけ。片山は少し疲れてはいそうだったけど、そこまで追い込まれているふうではなかった。
そう思ってたんだけどな。
午前中に、『今日やっぱ無理』という短いメッセージが入ったとき、ああそうか、としか思わなかった。そのあと既読も返信もまるでなくなって、なんかおかしいなと慌てたのは夜になってから。
結局のところ、俺の目が節穴だったってだけの話だ。
仕事帰りに直行してきてしまって俺はスーツだし、さすがにこのまま寝るわけにもいかない。
一応は置いてある自分のジャージを、うろ覚えの場所から探し出して引っ張り出す。片山はまだよく眠っているし、とりあえずシャワーを借りてしまうことにする。
ざっと浴びて着替えてサッパリして出てくると、片山は壁の方に張りついて、相変わらず丸まっていた。
冷蔵庫を開けると、時任さんが持ち込んだらしい支援物資がどさっと入っていた。
水とスポドリとヨーグルトとゼリーと。冷凍庫には片山の好きなちょっと高めのアイスも入っていた。
愛されてるなぁ。
片山は本当に、夏菜子ちゃんが好きだけど、ちゃんと夏菜子ちゃんに愛されている。相思相愛。
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