私の家族

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私の家族

 ガチャッ  高坂飛鳥(こうさかあすか)は自分の部屋のドアを開ける。  そのまま、あたしはリビングに行くために長いろう下を歩いた。  リビングではお母さんの洋子(ようこ)と姉の椿(つばき)が話に花を咲かせていた。  あたしは高坂飛鳥。  何もとりえのないごくごく普通の中学二年生。  姉の椿。  高校三年生ですごく成績優秀だ。  母の洋子。  とにかく厳しいお母さんで特に勉強には一段と厳しい。  成績が良かった姉は勉強について注意されることはなかったが、勉強も運動もふつうなあたしはいつも怒られっぱなしだ。  だからあたしは正直言ってお母さんが嫌いだ。  今日なんてもう一年で一番最悪な日だ。  なぜなら―― 「あっ、飛鳥。今日は母の日だからお母さんに話しておいたら? もしかしたら、印象が良くなるかもよ?」  あたしの存在に気づいたのか椿が私の耳元でささやく。  そう、今日は五月九日。  母の日だ――。  そして姉さんは言っていなかったけど、あたしだけの特別な日でもある。  今日は私の誕生日でもあるのだ。  あたしの誕生日と母の日はいつも時期が被っている。  この場合、母の日のほうがこの高坂家では優先される。  あたしの父はシンガポールに単身赴任している。  ということは、現在はお母さんが高坂家の大黒柱だ。  そして、お母さんにとってあたしは印象が悪い。  あたしの誕生日はお母さんにとっては何もない平日と変わりないのだ。 「今日は母の日だからどこかに行こうかしら」  お母さんがふっと笑みを浮かべる。 「それじゃ、駅前のショッピングモールはどうかな? お母さんもうちも前に行きたいって言ってたよね」 「そうね、飛鳥も行くわよね?」  椿が提案すると、お母さんは賛成する。  お母さんはそのままの笑顔のまま、あたしに問いかけた。  そういえば、数学の課題がまだ残ってて……。 「あ、あたしは行かな――」 「行くわよね?」  あたしは言いかけるとお母さんは私の言葉などさえぎってもう一度問いかける。  い、威圧感がすごい!  まぁ、帰ってきてからでも課題はやれるか。 「わかった」 「そうよね、それじゃ早く準備してねー!」  あたしがそういうと、先まで怖い顔をしていたお母さんの顔がぱっと明るくなる。  あたしははぁーとため息をつくと自分の部屋へと、とぼとぼと向かった。
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