偏愛

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─クソみたいなセックスだった。 明け方に、何の感情もない男の寝顔をチラっと見て、清算を済ませ、ホテルの駐車場に向かう。 幡中陽平は、深い後悔をしながら車のエンジンをかけた。 いつもそうだった。 香奈と離婚して以来、掲示板で知り合った男達と性行為をしていたが、終わった後にいつも同じ気持ちになる。 こんなことならしなければ良かった、と毎回思う。 目を閉じて、元義理の弟の尚人を想像してセックスをする。 陽平は、尚人のことが可愛くて堪らなかった。 そのあと目の前にいる何の感情もない男が喘いでいるのを見て、クソみたいな気分になるのだ。 体の中にある排泄物をただ出すだけ。 それなら、自慰行為でもいいかと思うけれど、どうしても次こそは、と期待してしまうのだ。 自分でも病んでいると思うけれど、どうしようもない。 ずっと自分に嘘をつき、自分を苦しめて生きてきた。 今、その歪みを修正するかのようにこんな気持ちになっているのだろう。
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