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その戦争は世界中が雄叫びをあげているような戦争だった。
共通暦一九一四年、世界は二つの勢力に分かれて戦争を始めた。
十三の国が手を組んだ協商国と四つの帝国が手を組んだ中央同盟国との戦争だった。世界の全ての地域の国が参戦した史上初の世界大戦だった。
当初、中央同盟国側の圧倒的不利な状況を見て、戦争はすぐに終わるだろうと考えられていた。
東西からの挟撃や人的資源、経済的資源の格差などが早期終結論の主な根拠だった。しかし、中央同盟国はその考えを覆した。
協商国の予想よりもはるかに中央同盟国軍は強かった。兵士の熟練度や統率の取れた動きは目を見張るものがあった。もちろん兵士の根性だけが予想を裏切った原因ではない。攻勢において中央同盟国軍は戦車や爆撃機や毒ガスなど、新兵器を駆使し協商国軍の想像を超えた戦略と戦術で戦場を蹂躙した。防衛では東西両戦線に史上類を見ないほど長い塹壕を作り上げ侵入してくる協商国軍の兵士たちを機関銃で薙ぎ払った。
協商国側の大きな誤算は他にもあった。それは中央同盟国軍の動きの速さだった。鉄道や車などありとあらゆる輸送手段を使って兵士や軍事物資をもの凄い速さで送り届けることに成功していた。そのおかげで東西にある長い長い戦線を維持することができていた。結果戦争は長引いた。死者の数は増えていき、協商国軍の正規兵たちは次々と戦場から消えていった。
協商国軍は中央同盟国軍に押されていった。しかし、何とかして戦線を維持しなければいけない協商国軍は共通歴一九一六年に各国で総動員令を発動させ、若者を戦場に送ることを決めた。その結果、レオンのような健全な男子が徴兵されることとなった。
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