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「ちょっと待て。なる、ここで何すんの?」
「ゲーム」
「こら。それは違くないか?」
「勉強は昨日いっぱいした。こないだの実力テストも満点だったし、俺ん中で土曜日はゲームしていい日って決めてる」
「普段の土曜ならいいけど、今日は違うだろ」
翔に携帯を奪われて、成親が不貞腐れる。
「今日は俺とイチャイチャする日なの! スマホは没収!」
「だって今日のしょーさん、怖いもん」
唇を突き出して睨んできた成親の言葉に、
「怖い?」と訊き返した。
「怖いよ。そりゃ……だって。したいの、わかるけど。でも……俺、初めてだし」
成親の、伏せた目。の、周りが赤くなる。
翔と出逢ったばかりの頃は毎日野球で走り回っていたから真っ黒だったのに、部活を辞めてから勉強ばかりで陽に当たることもあまりなかったせいで、成親は本来の白い肌を取り戻していて。
黒こげ野球少年、というどこからどう見ても子供でしかなかった成親に惚れた翔である。
まあ、その数年前の野球部強制丸坊主時代であれば、ひょっとすると“ひとめぼれ”はなかったかもしれないが、とにかく、その頃から較べるとどんどん可愛くなっている成親が、翔には堪らなく魅力的なのだ。
伏し目ではにかんでいる姿なんて見せられて、まともでいられなくなるのは当然だろう。
翔は成親をソファに押し倒した。
「俺だって初めてだ」
上からのしかかりながら、言う。
「ちゅうも、なるが初めてだし、アレ、触んのだって俺、自分の以外誰も触ったこと、ねーし」
「……りっくんのは?」
「……それはノーカンにしてくれ」
弟のおむつ替えからトイレトレーニングの手伝い、に突っ込まれ、翔が思わず笑った。
「やっと、笑った」
「え?」
「しょーさん、今日、いっこも笑ってないもん」
言われて、ふと、気付く。
確かに今日、成親を抱くことばかりが先走っていて、多分一切の余裕もなくしていた自分に、気付かされる。
「俺、昨夜寝らんなかった。だからベンキョ、してたんだけど。でも、今日、絶対しょーさん、スるつもりって、前からわかってたし……イヤじゃないけど、すごい、緊張して……俺、寝らんなかった」
成親が拗ねたように言って、下唇をきゅっと噛んだ。
「なる……」
「こえーよ、だって……しょーさん俺ん中挿れる気満々だし……」
言っていて恥ずかしくなった成親が、左手で自分の目を隠した。
その仕草が、可愛くて。
翔は大きく息を吐くと、その手を掴んで起き上がらせた。
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