道端に咲いた一輪を〜欠片を集めて花束を2

プロローグ

新藤(しんどう)倫子(りんこ)11月8日生まれの24歳。
旧姓は花上(かがみ)、会社では旧姓を名乗っている。

夫は新藤(しんどう)倫也(ともや)、10歳上の現在、34歳。
アクオソリューションズという人材派遣会社を大学時代の先輩と起業して、そこの副社長兼監査役員として働いている。

主な仕事は自社へ登録する人の選別と企業と人材のマッチング、欲しい人材を紹介、行きたい会社を紹介する仲介業の様なお仕事。
転職サイトと考えたら分かり易いのかな。

この会社の凄いところは急成長したにも関わらず、大企業にも信頼があり、海外からの依頼もあるほどで、最近は大企業と直接の業務提携を結び、人材を安定してそこへ行かせるので登録したい人も増えて来ていて、会社は結婚した時より大きくなった様に倫子は感じていた。

忙しい時は海外の人とリモートで面接する事もあって、帰宅は朝方という事もある。
朝方に帰れるなら良い方で、そのまま会社で仮眠を取り、朝の会議に出る、なんて日もあって、そんな風にスケジュールが立て込むと数日会えない、なんて事も珍しくはない。

それは知ってて結婚したし、普段の倫也は優し過ぎて甘過ぎて、大事にされているから不安に思った事もない、もともと倫子自身が毎日電話、メール、そういうのは少し苦手だった事もあり、連絡があって元気でちゃんと帰ると言った日に帰って来てくれるなら、と倫子自身も自分の仕事を頑張って生活していた。

多少の悩みもあったが、それは誰にでもある事で、夫婦仲は円満で二年の月日が流れた。

そして誕生日約一週間前、二年間悩まされていた子供が出来ないという悩みが解消された、念願の妊娠が判明したのだった。