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「理也が言うには作成された物を見ると分かる事もあるんだと。で、俺は分からないから宇佐美さんに聞いたら、明らかにフォーマットを利用して作成された精算書や見積書は見たら分かるらしい。見本を丸々、数字と名前を入れ替えて埋めるだけ、一から自分で作成する新人は真面目で勉強家、最初からフォーマットを使うのは合理主義の腹に逸物、と理也は考えているらしい。」
全部が全部じゃないけどな、と倫也は付け足して、倫子を褒めてくれた。
「よく頑張ったな。体は大丈夫か?後片付けはやるから、風呂に入ってのんびりしてろ。いいな?」
お言葉に甘えてお風呂に入り、ソファでのんびりしていると、倫也がお茶を手に来たかと思うと、足をマッサージしてくれた。
何も言わないで黙々としてくれるその優しさに、感謝と暖かさと気持ち良さでうとうとしてしまった。
半分夢の中にいる倫子の耳に優しい声が届く。
「倫子、あんまり頑張り過ぎるなよ。良い妻とか良いお母さんとか決めなくていいんだ。それを決めるのは俺と子供で周りじゃないからな?俺には最高の奥さんだから、ゆっくり寝て。」
ふわふわとした感触の中で、優しく撫でられた額に唇の感触がした。
朝起きたらベッドにいて、あれは夢じゃなかったと、着替えてリビングに行くと、倫也からのメッセージが置いてあった。
ーーー仕事、行ってきます!今日は5時に帰れるから、夕飯、引き受ける!楽しみにしてて!ーーー
メッセージを読み、メールを送ってから支度をして仕事に出掛けた。
(後、四日!)
悔いが残らない様に…最後までしっかり仕事しようと気を引きしめた所で、沢木が自席に鞄を置いてから、倫子へ向けて小さな箱折りを出した。
「やる!お礼。」
「はっ?えっ!昨日のですか?仕事ですからお礼なんて…。」
と言いながらも手はそれを受け取る。
開けていいですかぁ?と言いながら開けると、浮腫解消ソックスが入っていた。
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