サヨナラの日のイルメラ

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サヨナラの日のイルメラ

「なあ、覚えてるかよ。俺達が初めて会った日のこと」 「……?なんなの、藪から棒に」  海岸沿いの町が一望できるこの丘が、私達のお気に入りの場所だった。サンドイッチを食べてちょっとしたピクニック気分を味わうのも、喧嘩をしたのも、二人きりで星空を眺めたのもこの場所だ。  二人掛けのベンチが一つあるだけの小さな丘の上。  今日もいつも通り、二人で他愛のないお喋りをしていたはずだった。そう、彼が唐突にそんなことを言いだすまでは。 「今日で丁度三年だなあって思ってよ」  彼はその背中に生えた、コウモリのような黒い羽根をばさりと広げて言った。 「だからさ、イルメラ。全部話すわ……真実を」  こちらを振り向いた彼は。初めて見る顔で、笑っていたのだ。
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