705人が本棚に入れています
本棚に追加
「ううん、この前言ってた彼氏っていうの嘘なの…」
「嘘?」
「ごめんなさい、嘘ついて…、本当はいなかったの」
「……そうだったの?」
「うん、ごめんなさい…」
「どうして謝るの?もしかして私に嘘をついてたこと、ずっと悩んでたの?」
それもあるけれど。
私が言いたいのは、もっともっと、お姉ちゃんがありえないって思うことだから。お姉ちゃんに嫌われたくないけれど…。
「ううん、違うの…、それもあるんだけど。私…、その好きな人と、さっき…付き合うことになって」
「そうなの?」
「その人が…、聖くんと仲が悪いの」
「────え?」
「ごめんなさい、でも、あたし、その人が好きで。ごめんなさい、ごめんなさいお姉ちゃん…っ!!」
「ちょ、ちょっと待って?聖と仲が悪いって…、え?」
「本当はダメって分かってるんだけど、でも、本当にその人が好きで…私が聖くん側って分かってるの。だけどっ…」
「ちょっと待って真希っ、意味がよく…、聖と仲悪いって誰のこと?」
ここで、晃貴の名前を出したら?
もう後戻りは出来なくなる。
「穂高だよ、穂高晃貴…。清光高校の…」
だけど、私は言葉を発していた。
きっとそれぐらい、晃貴の事を信用していたからかもしれない。
お姉ちゃんは晃貴の名前を聞くと、「え…?」と、顔色を変えた。
最初のコメントを投稿しよう!