拉致

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見ず知らずの怖い人たちに捕まり、平気だっていう方がどうかしてる。 何をされるか分からないのに。 1人の男が何処からか縄のような紐を持って来たのを見た時、パニックは最大級になっていた。 離してぇ!! そう叫ぼうとした時、 「何の騒ぎだよ?」 という低い声が、倉庫に響いた。 その声は聞いたことのある声だった。 さっき、扉をノックした時、 扉の奥から聞こえてきた低い声。 その声が響いた途端、ザワザワとしていた男達が、一斉に静かになるのが分かった。 「徹さん」 てつ? 現れた男は、有り得ないぐらい眉間にシワを寄せ、銀色に染められた短い髪をたたせ、これ以上見つめられたら石になってしまうんじゃないかってほど、氷のような目つきをしていて。 「なんだこの女」 徹さんと呼ばれた男は、捕まっている私のそばに来て、怖すぎる顔で私を見下ろしてきた。 「山本聖の女の妹です」 そう言ったのは、男が沢山いるせいで誰が言ってるのか分からない。
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