秘密

27/37
前へ
/257ページ
次へ
「うん」 「じゃあ尚更だな、送るから家に戻って休んだ方がいい」 家に戻って? 「でも…」 「でも?」 やっぱりまだ晃貴と一緒にいたくて。 離れたくないって思ってしまうから。 そう願いをこめて晃貴を見つめた。 「真希ちゃん、そんなに俺と一緒にいたいの?」 いとも簡単に私の思いが伝わったのか、晃貴はからかうようにそう言って、笑ってくる。 私は恥ずかしくて晃貴から顔を背けて。 「マジで可愛いな、そんなに俺と一緒にいたいんだ」 「も、違うしっ」 「違ぇの?」 「違うっ」 「俺は一緒にいたいけど、真希は違うのか」 「なっ…」 ほんと晃貴は私をからかってくる。 分かってるくせに……。 「もう帰る!」 クスクスと笑う晃貴を押し退けて、ソファから立ち上がろうとする私を「ごめんごめん」と悪びなく言いながら晃貴は私を引き寄せて、背後から抱きしめてきた。 シトラスの匂いが私を包む。 「ごめんって、怒んなよ」 耳元で呟かれ、ドキッとなる私。 「別に怒ってないし」 「俺、真希に何言われても怒らねえ自身ある」 「え?」 「真希だけは俺に何言ってもいいよ」 私だけは?
/257ページ

最初のコメントを投稿しよう!

707人が本棚に入れています
本棚に追加