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「うん」
「じゃあ尚更だな、送るから家に戻って休んだ方がいい」
家に戻って?
「でも…」
「でも?」
やっぱりまだ晃貴と一緒にいたくて。
離れたくないって思ってしまうから。
そう願いをこめて晃貴を見つめた。
「真希ちゃん、そんなに俺と一緒にいたいの?」
いとも簡単に私の思いが伝わったのか、晃貴はからかうようにそう言って、笑ってくる。
私は恥ずかしくて晃貴から顔を背けて。
「マジで可愛いな、そんなに俺と一緒にいたいんだ」
「も、違うしっ」
「違ぇの?」
「違うっ」
「俺は一緒にいたいけど、真希は違うのか」
「なっ…」
ほんと晃貴は私をからかってくる。
分かってるくせに……。
「もう帰る!」
クスクスと笑う晃貴を押し退けて、ソファから立ち上がろうとする私を「ごめんごめん」と悪びなく言いながら晃貴は私を引き寄せて、背後から抱きしめてきた。
シトラスの匂いが私を包む。
「ごめんって、怒んなよ」
耳元で呟かれ、ドキッとなる私。
「別に怒ってないし」
「俺、真希に何言われても怒らねえ自身ある」
「え?」
「真希だけは俺に何言ってもいいよ」
私だけは?
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