秘密

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お姉ちゃんは最後まで、真剣に私の話を聞いてくれた。時々お姉ちゃんには珍しく怒った表情も見せたりして。 「私に知られたくないってどうして?」 晃貴の事を全て喋り終えた時、お姉ちゃんは小さな声で呟いた。 もう窓の外は明るかった。 今が何時か分からないけど、もう夜明けなのは確かで。 「お姉ちゃんに嫌われたら、捨てられるって思ってたの。施設にいた時、お姉ちゃんがいたから私、この家にこれたから。本当はお父さんもお母さんも、男の子が欲しかったって知ってるの。でもお姉ちゃんと仲良くなれた私が家族になっちゃったから。だからその分、期待に答えるようにお姉ちゃんに追いつくようにたくさん勉強したし、いい子になろうとした。…でも、できなかった。受験に失敗したし、その時にお父さん達が「やっぱりキョウダイじゃない」って言ってたのも知ってる。それ聞いて、見放されたって思ったの…。だから私はもうお姉ちゃんしかいなかった。お姉ちゃんに嫌われたら私…、家族の一員じゃなくなるから。だからお姉ちゃんに迷惑にならないように、黙ってたの…」 喋っていくうちに、どんどん文法とかが変な日本語になってしまっていた。 でも口を動かさないと、止まってしまっては、もう話すことができないって思ったから、必死に口を動かした。
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