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連れてこられたのは、路地裏から出た所にある古びた倉庫のような場所だった。
私が逃がさないように肩を掴まれながら、戸惑いなくそこへと入っていく男たちに、また恐怖が襲ってくる。
「よお、なんだその女」
「火種になる女だよ」
「はあ?なんだそれ」
古びた倉庫には10人程の、私を連れてきた人たちのようなガラの悪い人が沢山いて···。
「晃貴さんは?」
「さあ、まだ来てねぇよ」
「んじゃ、徹さんは?」
こうき?
てつ?
誰?
「徹さんなら中にいる」
「そ」
金髪の男は私の肩を掴む力を入れ、奥へと入っていく。
「や、やだっ···」
怖くて怖くて声が小さくなる。
力も入らなくなってくる。
「逆らってんじゃねぇよ」
逃げたくても、
こんな大人数がいる中で逃げられるわけがない。
男が奥の扉の前にたった時、
空いている左手でコンコンと扉をノックして···
「入れ」
扉の奥から低い男の声が聞こえ、その低すぎる声に戸惑いを隠せない私を無視して男は扉のノブに手をかける。
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