恋愛

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西祐介は、私にはじめて興味を持ってくれた異性だった。 はじめての河原でのバーベキューも何とか切り抜け、片づけも終わり帰宅しようとしていた頃。 「持って帰りましょうか?」 段取りも何も知らない私は、バーベキューで出たゴミ袋を持った彼にそう質問したのだった。 一瞬何のことか考えた後、彼は大爆笑した。 「そんなこと言ってくれる女子はじめてだよ。ありがとう。」 涙をふきながら、彼は笑顔でそう返してくれた。 その笑顔に心臓がドクンと鳴ったのを覚えている。 その日から彼のことを思うと鼓動がうるさくて仕方なくなったけれど、部署も違う彼との接点を見つけられるわけもなく日が過ぎていった。 次に誘ってくれたのは彼からだった。 同期に私の名前を聞き、社内メールで連絡を取ってきてくれたのだ。 私は舞い上がった。 それまでの私では考えられないことだが、即座に誘いを受けた。 彼はよく笑い、私も笑わせてくれた。 私自身がこんなに笑える人間だとは思ってもみなかった。 色々なところにも連れて行ってくれた。 季節折々の花畑。桜、ネモフィラ、芝桜、つづじ、ひまわり、コスモス、彼岸花。不思議なことに、彼と行く場所には霊がほとんどいなかった。 私が彼に夢中で周囲を見ていなかっただけかもしれないが。 これが幸せというものかと実感するにつけ、一抹の不安が心をよぎるようになった。 **************************** 読んでくださりありがとうございます。 当初公開した内容から、少し加筆訂正しております。
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