私の景色

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私の景色

世界は人でごった返している。 そう言うと、朝の通勤ラッシュとか、新宿のスクランブル交差点とか、人気の遊園地とか色々なシーンを想像するのかもしれない。 例えば、病院。例えば線路の上。例えば道路。例えば部屋の中。 人は様々場所にいる。 私には恐らく亡くなった方が見える。 幼い頃、ホームで電車を待っている時、線路に立っている男性を見つけ、危ないからホームに来るよう叫んだら、母親からそんな人はいないと叱られ、強く手をひかれてその場から立ち去ったことがある。 それ以降、私は変な場所に立っている人のことは誰にも話さないようにしていた。なので、これは私だけの秘密。 幸いにも私の身近な方で亡くなった方はまだいないので、皆がなくなった後も姿を現すのかはわからないけれど、うじゃうじゃとそういう人を見かけるので、きっと心残りがあれば結構な確率で肉体を無くしても人はそこにあり続けるのではないかと思う。 だからと言って、戦国時代の武将姿の人とかは見かけたことがないので、きっと定期的に生まれ変わったりしてやっとこの世界からいなくなるのかなと思う。もしくは死体が土に還るように、時が経てば精神も大気に還るだけかもしれないとも思う。
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