戦う!お母さん!

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「さあ、みんな! 今日も家族一丸となって頑張りましょうね!」 「お母さんさぁ、ハリキリすぎじゃない? めっちゃダルイんだけどぉ」 「お姉ちゃんったら。ダルイとか言わないで、お母さん悲しくなっちゃうわ!」 「そうだぞ、女の子なんだからそんな言葉遣いをするもんじゃない」 「えー、なに、お父さんまで。まじダルイ」 「そうよ、お父さん。娘にどうこう言う前に、あなたこそしっかりしてくれないと!」 「おお、怖い怖い。女は怖い。なぁ?」 「僕に話ふらないでください」 「息子よ、つれないことを言うなよ。同じ男同士仲良くしようじゃないか」 「今の時代、男とか女とかで話を進めるのはナンセンスですよ」 「ちぇっ、なんだよ。誰もわしを敬おうって気はないのかね」 「みんな、早く支度をしてちょうだい!」 「あうあー」 「まぁ、おはよう坊や。よちよち、ご機嫌でちゅねー。一緒に行きましょうねー!」 「あぶぶぅ」 「でさぁ、何やるのぉ?」 「今日の獲物は、コイツよ!」 「また、コイツですか」 「なぁ、母さん。ここ最近、コイツばかり倒してないか?」 「ま、お父さんたら! コイツは基本中の基本よ。基本を押さえることは大事なことよ!」 「確かに、基本を押さえることは大事ですね」 「さすがお兄ちゃん! よく分かってるわ! お母さん嬉しいわ!」 「でも、流石に毎日だと飽きます」 「なによ! もういいわ! とにかくみんな戦闘態勢をとってちょうだい!」 「はぁい。じゃあ、あたしはこのへんにいるからぁ」 「僕はこのあたりでいいですね」 「どっこいしょ。わしはここかな」 「みんないい感じよ! さあこのまま取り掛かりましょう!」 「それにしてもさぁ、こいつの皮ってマジでどこで終わるの? ずっと剥けるんじゃね?  この茶色のカサカサした感じがまじキモイんだけどぉ」 「僕は表面を剥いた後の方が嫌ですね。妙にツルツルしていて、不気味です」 「二人とも、皮を全部剥いたらそっちをしっかり押さえてくれ。わしと母さんはこっちにいるから」 「素晴らしいわ、とっても綺麗に皮が剥けてる! これなら次の作業もスムーズにできるわ!」 「それにしてもさぁ、お母さんって毎日毎日同じことやってるよねぇ。あたしだったらまじで無理。絶対嫌になるしぃ」 「でも嫌になられたら、僕たちの生活は確実に変わりますよ、悪い方に」 「ううあー」 「ほら、赤ん坊にも分かるみたいです」 「なに結託してんの、まじウザイ」 「――きゃああ!」 「え? お母さん?」 「ちょっと、血ぃ出てるじゃん! まじヤバいじゃん!」 「騒ぐな」 「ちょっと、お父さん酷すぎ! お母さん怪我してるじゃん!」 「そうです、もっと心配するべきです」 「だ、大丈夫よ……少し、切れただけだから」 「でも、お母さん血まみれじゃん、全然大丈夫じゃないよぉ」 「僕もそう思います。早く病院に行きましょう」 「その必要はない」 「ほんとさぁ、お父さんマジで最悪なんだけど」 「出血量は多いが、傷は浅い。傷口をしっかり押さえておけば血は止まる」 「でも……お母さん、病院に行きませんか?」 「二人とも心配してくれてありがとう。お父さんの言う通りしばらくしたら血は止まるわ」 「お前はここでじっとしていろ。コイツの処理はわしらでやるから」 「あなた、お願いしますね」 「任せろ。お兄ちゃんはこっちにきてサポートしてくれ」 「は、はい」 「お姉ちゃんはそこで待機してくれ」 「あたしだって出来るしっ」 「いや、後ろにいる坊やを守ってくれ。それがお前にとっての最優先事項だ」 「あぶあー」 「……わかった」 「さあ、みんな集中しろ。必ずやり遂げるんだ」
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