#08少女はまた夢を見る

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パソコンの乗る机の引き出しから、リョウは深紅の小箱を取り出した。 見間違えるはずのない、あたしの宝物。 その手の中にあるシルバーのリングを見ると、堪えきれずに右目からは一筋の涙が零れ落ちる。 リョウはその涙を親指で拭うと、あたしを腕の中に閉じ込めた。 「やっと、渡せる」 言わなきゃ、聞かなきゃ。 いつか、こんな日が来るだろうって身構えてた言葉。 いざ目の前にすれば情けなく心は震えて口を動かすのが難しい。 身体を離し、涙で濡れる顔を拭いもせずに心を決めた。 「……リョウ、ひとつだけ…お願いが、ある」 「なに?」 「……もし、あたしが死んでもさぁ」 「あぁ」 「フウカを、ずっと守ってくれる?」 「当たり前だろ」 間髪入れぬ言葉はあたしの心に刻まれて、再び涙が込み上げた。 「つぅか、俺が死なせねえよ」 困ったようにリョウは笑うから、ぽろぽろと涙が零れ落ちた。
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