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「その内、俺もリーブスに行こうかな」
ふふんと鼻を鳴らし、ふざけた事を言うので溜め息と共に箸を置いた。
「来んな。お前には譲らない」
「いーよ、勝手に奪うから」
無邪気な笑みの奥で渦巻く悪意。息子がこれ程相容れない存在になるとは思いもしなかった。
「もう!すぐに喧嘩しないの!イツキ、お風呂済ませなさい」
いがみ合っていればエマの仲裁の声によりイツキは「はーい」と返事をした。
「じゃ、父さんそういう事で」
「どういう事だよ。」
疑問を消化させぬまま、イツキは部屋に戻った。
「……あいつどこでどうなったんだよ」
「さぁ?リョウに似てるんじゃない?」
「俺はあんなにヘラヘラしてねぇよ」
「愛想良くなったリョウだよね。……リョウに似てとっても優しい子」
エマは目を細めて、さぞ自慢げに微笑んだ。
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