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ふーん、と、頷いていれば、忙しない双子は二つに纏めた髪を兎のように揺らしながらノートを広げた。
「ねぇ、ママ、ここ分かんない」
「リリはここ」
「ごめん、待って……六年生の算数って難しいんだよなぁ、分かるかなぁ……あ!分かった!」
マハナのノートに書き込む数式を見て一目で嘆息した。
分かってねぇな、これは。
もう殆ど食べ終わっていた食器を片し、エマと交代して勉強を見ると二人は揃って頷き、再びソファーの元へ戻った。
「そういえば、イツキ、就職って聞こえたけどもう決めちゃったの?」
「みたいだな」
「東京って言ってたけどイツキまで出てっちゃうのかな……それはそれで寂しいな」
「良いんだよあいつは。……フウカは?」
「マハナとリリカの部屋」
「……そうか」
小さく声を零すと立ち上がり、その部屋に繋がるドアを開けた。
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