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月明かりが眩しい冬の夜、君に出会った。
くだらない人生、つまらない価値観。
自分の幕引きはどうでも良かった。
「あ、そうだ。お父さん、あれだけ教えてよ」
「なに?」
痣だらけの小さな身体を、守る様に蹲る君は
"死にたい"絶望の言葉をその口で告げた。
だけど俺には
"生きたい"希望の言葉に聞こえた。
「ホットミルクの作り方!自分で作ってもお父さんの味にならないんだよねぇ」
「……ほんっとにエマと同じ事言うのな」
『手放すな』心の奥で、誰かが言った。
その理由はすぐに分かる。
「そうだよ、あたし、母親似。だからお父さんの事世界一大好き!」
「……そうか」
その子は俺の、生きる意味をくれる。
その子は俺に、幸せをくれる。
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