エピローグ

9/10
629人が本棚に入れています
本棚に追加
/429ページ
月明かりが眩しい冬の夜、君に出会った。 くだらない人生、つまらない価値観。 自分の幕引きはどうでも良かった。 「あ、そうだ。お父さん、あれだけ教えてよ」 「なに?」 痣だらけの小さな身体を、守る様に蹲る君は "死にたい"絶望の言葉をその口で告げた。 だけど俺には "生きたい"希望の言葉に聞こえた。 「ホットミルクの作り方!自分で作ってもお父さんの味にならないんだよねぇ」 「……ほんっとにエマと同じ事言うのな」 『手放すな』心の奥で、誰かが言った。 その理由はすぐに分かる。 「そうだよ、あたし、母親似。だからお父さんの事世界一大好き!」 「……そうか」 その子は俺の、生きる意味をくれる。 その子は俺に、幸せをくれる。
/429ページ

最初のコメントを投稿しよう!