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「売り上げが上がってる、お客様かい?」
勝手に繰り広げられるバトルを横目に、オーナーの信さんはマイペースにレジと帳簿を確認しては程よく蓄えられた顎髭を触っている。
「はい、お供え花をお求めに、男性の方がお一人」
「「「大丈夫だった?」」」
私の言葉に、三人の声が綺麗に揃う。
だから安心させる様にと、間髪入れずに「はい」頷いては指を組む。
「平気です、その、たまに怖いけど、このお店に来るお客様に、怖い人はいません」
それに、と、言葉を続けて見上げる。
「信さんや新太くんは怖くないです」
信頼から生まれた、心からの言葉。
「一年か…」信さんがしみじみと呟いては眉間を摘んだ。
「強くなったね、菫花…」菜々子さんもまた、いつの間にか目に涙を浮かべている。
知り合った時から変わらない。二人とも義理堅く、人情深い性質なのだ。
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