3本目 ガーベラ

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そうか、先輩は怒ってくれたのだ。 私のせいなのに、私が助けを求めたのがきっかけだったのに。 彼の奇行の理由が分かると、目の奥がどうしようもなく熱を帯びて、喉の奥が震えた。 『……ごめん、髪。俺のせい』 その人は悔しそうに奥歯を噛み締めて、私の髪の毛に触れる。 泣いているのが切られたせいだと、そう思って欲しくないから『平気です』必死で涙を止めようとした。 でも、彼はその表情を変えないから、中身の少ない頭で正解を探す。 『……先輩は、髪、長い方が好きですか?』 探し当てたものは頓珍漢な言葉だから、急いで『な、なんでもないです』と、首を振った。 『どっちかと言うと、そっちかも』 それでも先輩は律儀に教えてくれて、私に向かって、初めて笑ってくれて。 『じゃあ、また伸ばします』 以来、私は髪を短くすることは無かった。 ……多分、私、蓮聖先輩のことを好きになる。 気づいた時には、もう随分と 私の心に、あの人は住み着いていた。

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