探し物三重奏

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 多香子と母親の神崎教授が東京ビッグサイト内に設置された、対エブラ迎撃作戦本部に移送されている間にも、伊豆半島沖では海上自衛隊の護衛艦群が攻撃を行った。  対潜水艦ミサイルが次々と発車されたが、エブラは水中で巧みにかわし、長い尾で弾き飛ばし、命中させなかった。  エブラはそのまま東京湾の入り口である浦賀水道に接近。軽10隻から成る潜水艦隊が通過を阻止しようと試みたが失敗。  エブラはまっすぐにお台場へ向かい、最終防衛線であるレインボーブリッジ上には陸上自衛隊の戦車部隊が並んで待ち構えた。  お台場近くの海面には、急遽F35Bステルス戦闘機を搭載した、いずも型護衛艦が待機。航空自衛隊のF35A戦闘機は東京都横田基地に集結。  在日米軍は全軍臨戦態勢に入り、第7艦隊が横浜港沖に展開。グアムの米軍基地では核ミサイルを搭載したB1超音速戦略爆撃機が発進体制に入った。  だが、自衛隊の通常兵器はことごとく、エブラには利かなかった。ミサイルも砲弾もエブラの進行を止める事は出来ず、レインボーブリッジ直下を突破された。  そして遂に、お台場海浜公園のビーチにエブラは上陸した。後ろ足で直立した二足歩行の巨大生物は、ティラノサウルスのそれをもっと大きくしたような前足を縦横に振るって、行く手を妨げる陸橋や建造物を踏みつぶしながら、東京ビッグサイトに迫った。  防衛本部内では、作戦隊長が多香子の避難を決断した。ビッグサイトの奥まった場所に待機していた多香子と神崎教授の所へ隊長は赴き、切迫した口調で告げた。 「裏手に脱出用のオスプレイを着陸させます。それに乗って下さい。ここは多分持ちこたえられない」  二人が裏手の開けた場所に出て、そこへオスプレイが1機降下してくる。  その時エブラが、前脚を左右に大きく開いた。前脚から腰にかけて膜があり、まるでムササビのように、エブラの巨体が宙を飛んだ。  風圧で、二人を迎えに来ていたオスプレイは吹き飛ばされ、多香子の目の前に、エブラは舞い降りた。  ドラゴンのような巨大な顔が、多香子の方に近づく。神崎教授は成す術もなく多香子の体を後ろから抱きしめた。  エブラの口が大きく開き、多香子が手を伸ばせば届く距離まで近づいた。それを見た自衛隊員の一人が悲痛な叫びを上げた。 「まさか、あの女の子を食う気か?!」
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