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君と出会ったのはおよそ二年前。それ以前の君のことを、残念ながら僕は知らないけど。
それまで君のそばにいたやつらには、絶対に負けない。そんな自信がある。
これからだって、それは同じさ。
誰の人生にだって、晴れの日もあれば、雨の日もあるよね。
激しい風に吹かれて、君が倒れそうな日も。ユイ、君のその瞳が、傷つき涙で曇らないよう、全力で僕が守るよ。
……ただし、いつもそばにいるとはいっても。
僕と君はちゃんと、節度を保ったおつきあいをしている。
たとえば、お風呂や夜眠る前には、僕らはちゃんと離れているよね?
そう、あたりまえのことだけど、僕はユイのストーカーなんかじゃない。
それどころか、ユイの意思なしには、君のそばに近づくことさえできないんだ。
慎重すぎるって、君は笑うかな? ユイ。
だけど、こんな自分を僕は変えられない。変えようとも思わない。僕が僕である限り。
これだけは信じてほしい。
ユイ、僕はきっと、君のために生まれてきたんだ。
なのに、ハニー。君の心の中には、もしかしたらもう、他の誰かが……。
そのとき、ノックの音と共に、
「入るよ? ユイ」
ママさんの声がした。
僕は慌てて、涙で曇りかけていた顔を上げる。
やっぱり、大好きな女の子の家族の前では、少しでも好感度を上げたいから。
……たとえこの恋が、終わりかけているのだとしても。
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