雨宿り

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雨宿り

ねぇ、覚えていますか。 あの日、あの場所のことを。 私は覚えているよ。 あの日は、突然雨が降り出した。 傘を持っていなかった私は屋根のある場所を目指していた。 急いで走ったおかげで転び、制服にも泥がついた。 近くの神社に着く頃には服はビチョビチョで足も痛く最悪の気分だった。 階段を上がりタオルで顔や身体を拭いた。 拭き終わり縁に座ろうすると少し離れたところに黒いパーカーを着た誰かがいた。 私はその誰かがいつからいたのか気づかなかった。 こんな天気のせいだったためか幽霊だと思ってしまい怖くなった。 私は近寄らないよう距離をとった。 だが黒いパーカーの所々色が変わっていた。 その誰かも私と同じような目に遭ったのだろう。 風邪ひかないかな。 そんな見知らぬ人?に心配してしまった。 もう一つもっていたタオルを差し出してみることした。 でも急にタオルを差し出してくる変な学生だと思われないかな。 そんな心配をよそにするかのようにその誰かはそのタオルを受け取ってくれた。 よかった。 最悪の場合、差し出した手を振り落とされたらと思ったからだ。
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