石田さんち

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そのとき、窓があるほうからニャアンって声がしたの。リンって鈴のような音もして、白いカーテンの隙間からネコが出てきた! 「おー、やまだくんそこにいたか」 おじさんは立ち上がって、その大きなお腹をイスに当たらないように器用に窓に近づいてネコをだきかかえた。 にゃぁってもう一度ないた顔によしよしって頭をなでてわたしに近づいてくる。 「こんにちは、ハチワレネコのやまだくんです。よしくね」 おじさんがネコとわたしのきょりを近づけてそう言った。 「やまだくんっていうんですか? 」 わたしは変な名前だなっておもった。だって人間みたいな名前じゃない?ふつう、ネネちゃんとかゆきちゃんとか付けない?わたしのお友達のネコは、真っ白のペルシャねこをかってたけど、その子の名前はルビーちゃんだったわ。 やまだくんなんて変よ。 「やだわあ、違うのよアリサちゃん。おじさんはね、からかってるの。本当の名前は、ダイフクっていうのよ」 おばさんがそう言って笑ったの。 やっぱりおかしいと思った! だっていしださんちのやまだくんなら、《いしだやまだくん》で病院からおハガキが届いちゃうわ。 「違うよぉ、わたしはまるちゃんって呼んでるんだよ。まるちゃんでいいのよ」 「おいおい、まるは先代のネコの名前だろ?」 おじさんはおばあちゃんの顔を見て笑った。 みんなそれぞれに呼んでるのかな? だったらわたしはなんて呼ぼうかな?
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