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わたしがパパの後ろについて、小さな木の戸を開けたところにひとりのオジサンがいた。
「おー! 来たか! 」
そのオジサンは、あたまがすってんてんでツルツルしてた。だらしなく下着のシャツをうしろから出して、でっぷりとしたお腹をかくしきれない姿勢で……しゃがみこんでいたわ。
あやうくおしりが見えそうなくらい。
パツパツになったズボンが悲鳴をあげてるのをきいた。きゃーって。
「こんにちは、アリサちゃんだね? 」
しつれい……。
わたしったら、つい失神しそうになったわ。
まさか、この人がパパのお友達?
「はじめまして、パパがいつもおせわになってます」
「ははっ! さすが都会っ子はちがうねぇ! きちんとあいさつが出来るんだ? 」
そうなの。
わたしできるの。当たり前じゃない。
「すまんなあ、石田、急にお願いすることになっちまって。俺の不甲斐ないことで……」
ん? パパはなにを言ってるのかしら?
「気にするなよ! 旧知の仲じゃねぇか。こっちのことは任せろ」
石田さんは、パパの肩を軽くたたいた。
その姿は、はげますお友達の図。
ハゲオジサンがパパをハゲましてて、どうしてそんなことになってるんだろうってぼやんと思った。
パパは、なにかわるいことをしたの?
お仕事がいそがしいから、わたしをこっちでみてもらうことにしたんでしょ?
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