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「俺がしっかりしてればこんな事にゃならんかったのに……。アリサが世話になる。すまない」
わたしは、パパをじっとみた。
「うちにはよぉ、同じくらいの男の子がこの夏に来るんだよ。ま、前言ってたちょっとワケありの子なんだけどな。でもきっと、子供たち同士仲良くなるさ」
そう言って、ツルツルおじさんはわたしに向かってにっこり笑ったの。
その時みたわ。
前歯が1本ないの!!
ツルツルで前歯がないおじさんなんて初めてみたからびっくりしちゃった。
もう1回言っちゃうけど、まさかパパの友達なんて!
「じゃ、アリサいい子にしてるんだよ」
「……うん、わかったわ。パパ」
「荷物はゆうびんで送ってあるからな。石田のおじさんがちゃんとアリサの部屋を用意してくれてあるそうだ。お手伝いもきちんとするんだぞ」
「わかってる」
わたし、ホントはパパと離れたくない。けどちょっとの間だし、がまんするんだ。
うつむくいて下を見ると、小さな庭の石っころたちがここにたくさん敷かれてることに気がついた。そっと右をむくと、池みたいなのもあって、水をためる大きな石のお皿みたいなのもある。
今までみたことないおうち。
わたし、ちゃんと出来るかな?
少しの間だけどきちんと出来るかな?
なんだか涙が出そうになった。
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