石田さんち

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「さあ、召し上がれ」 前と横におばさんとおじさんが座って、みんなが私の方を見た。 「い、いただきます」 食べちゃってもいいんだよね? 実が破裂しそうなくらい皮が濃い緑色になってて、洗いたてのお水が少ししたたってる。 『シャイン』っていうくらいだからきっとこれが輝くってことなのよ。 私はそう思いながら大きな実をひとつちぎって口の中に放りこんだ。 「おいしい? アリサちゃん」 おばさんはうれしそう。 口を開いてなにか言いたかったけれど、あまりにも果汁がすごくてお口の中がモゴモゴしてた。しばらくかみながら、しあわせを味わって、ゴックン!ってしたの。 「おいしいです! 」 その瞬間、おじさんは大声で笑いだした。 「そっかー、山下のじいさんとこのブドウはうまいかっ! はははっ!」 「うん。すごく大きくて甘くてこんなの食べたことないです」 「うん、これはなあ、朝に近所のブドウ畑で採ってきたものなんだよ」 「えっ! お店で買ってきたものじゃないの?」 わたしはおどろいてブドウをじっと見つめた。うーん、たしかにこんなにおいしそうなもの初めてかもしれない……。 採りたてって、こんなにちがうんだ。 こんなにおいしいんだ。 「おじさんとこはな、野菜畑もやってるし、みんな採りたて食べ放題だぞ! 」 そう言っておじさんは前歯がひとつない口を大きくあけて笑ったんだ。 わたしもつられて笑っちゃう。 おじさんの顔おもしろい。
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