少女には霊感がある

病院

「一体彼に何が起こったんです？」

月子と母親は、街の小さな病院にいた。月子の方は彼のことが心底心配で仕方がないという様子だが、母親の方はというと、本心は無用な面倒ごとに巻き込まれてしまって、全く勘弁してほしいというふうだった。母親に問われた医師は白髪頭を掻きながら言った。

「全く、さっぱりですな。もう少し大きな病院で診てもらう必要があるでしょう。こちらの呼びかけにも全く反応ありません。しかし、その、彼のやった除霊というやつについてもう少し聞かせてもらえませんか。はっきりとは分かりませんがお嬢さんに除霊をしている最中に倒れてしまったということでしたら、何らかの関係があると考えるのが自然でしょうからな。自分が除霊を行っているという思い込みが強すぎて、心理的なショックを受けたことが原因かもしれません。全く、奇妙ですな。何かうわ言のように繰り返していますよ。何をいっているのかはよく分かりませんがね。まるで誰かと話でもしているようです。」