宵のエルマー

サトダ

そんなサトダさんは、社内の女性の中でも、かなりの人気だと思う。クールな眼鏡男子で人気な人事部の上原さんと人気を二分しているんじゃないかと思う。

人事の上原さんは、すらっとして眼鏡とスーツが似合う落ち着いたしっかりした方だ。私の事も、中途採用当初から前職を辞めた経緯を知っていて、気にかけてくれている。いつも、とても丁寧な方だ。

時々、廊下出会うと、足を止めて近況を聞いてくれる。この間も、人事に必要な書類の確認しに行った帰りに、人事部の入り口ですれ違ったら、声をかけられた。

「最近、どうですか?」

細身のスーツをきちっと着ている。几帳面な雰囲気がする。

「えぇ、良くして頂いています。仕事も慣れて来ました」

今の部署の皆が良くしてくれるというのは、本当だ。
辞めた経緯をあんな風に話してしまったせいで、男性社員には、個人的な会話をあまりしないように気を使われている気がするけれど、仕事の面では普通に接してくれている。

女性社員も合コンや男女の飲み会に誘うとかはないけれど、普通に優しい。部署のお姉さん的な存在の富田さんとは仕事帰りに、女子数名で食事行ったりもする。

そして、サトダさんの補助についてからは、サトダさんは私が変な電話に困ってないか、常に気にかけてくれている。

別の部署の上司や取引先の電話が長話になると、すぐ電話を変わってくれる。他の課の男性社員と話していると、一応声をかけて、私が困っていないか確認してくれている。

「何か不具合があったら、すぐに言って下さい」

「お気遣い、ありがとうございます」と真摯に対応してくれる上原さんにお礼を言った。

前職の問題は、ただ一人の厄介な人が変な事をしてきただけだ。問題が大きくなったのは、それを上司がきちんと対応してくれなかったからだ。
この会社は、そして、この先輩、上司達は、あの時のような何かおかしな事にあっても、ちゃんと対応してくれるだろうと思う。

上原さんは、私に話しかけて近況を確かめると、それ以上におしゃべりするわけでもないから、クールだ。

そういう対応を、私だけでなく、社員、一人一人にしているように見える。

新入社員への研修や気遣いもすごくよかったと、私と同時期に新卒入社した宮崎さんがうっとり語っていた。