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市街地から離れ、高原地域へ車を走らせる。
森の中を抜けていく。
「チロルチョコ、お兄さんが好きなんだ?」
「はい。チョコならなんでも。でも、チロルチョコは、鞄に入れておけるから。私も兄も子供のころから、好きですね」
「俺も好き」
はははと笑う。
「子供の時から母がよくバッグに入れていて、わたしも癖で」
「それで、いつもくれたのか」
サトダさんが納得している。
コーヒーと一緒に、時々サトダさんのデスクに置く。
バレンタインの時も、ちゃんとしたチョコレートはどうもあげられなくって、チロルチョコを、がさっとデスクに置いておいた。
なぜかホワイトデーはイチゴミルクの飴が一袋、デスクに返って来た。
大好きだから、うれしかったけど、なぜかイチゴミルクだったのかわからない。
ドライブしていく、森の緑がとてもきれいだ。
それほど大きくもない地方都市に住んでいるけれど、こうやって、本当の山の中にくると、楽しくなる。
高原の公園の駐車場に車を停めた。
「少し、歩く?」
私の靴を確認して、遊歩道へ誘ってくれる。
ぺったんこの靴なので、遊歩道なら大丈夫だと思う。
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