7/34

1749人が本棚に入れています
本棚に追加
/208ページ
 市街地から離れ、高原地域へ車を走らせる。 森の中を抜けていく。 「チロルチョコ、お兄さんが好きなんだ?」 「はい。チョコならなんでも。でも、チロルチョコは、鞄に入れておけるから。私も兄も子供のころから、好きですね」 「俺も好き」 はははと笑う。 「子供の時から母がよくバッグに入れていて、わたしも癖で」 「それで、いつもくれたのか」 サトダさんが納得している。 コーヒーと一緒に、時々サトダさんのデスクに置く。 バレンタインの時も、ちゃんとしたチョコレートはどうもあげられなくって、チロルチョコを、がさっとデスクに置いておいた。 なぜかホワイトデーはイチゴミルクの飴が一袋、デスクに返って来た。 大好きだから、うれしかったけど、なぜかイチゴミルクだったのかわからない。 ドライブしていく、森の緑がとてもきれいだ。 それほど大きくもない地方都市に住んでいるけれど、こうやって、本当の山の中にくると、楽しくなる。 高原の公園の駐車場に車を停めた。 「少し、歩く?」 私の靴を確認して、遊歩道へ誘ってくれる。 ぺったんこの靴なので、遊歩道なら大丈夫だと思う。
/208ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1749人が本棚に入れています
本棚に追加