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「杏ちゃん」 サトダさんが、あきれたように、こっちを見ている。 「杏ちゃん。好きでもない子に、そんなずっと夜中に電話なんかしないわ」 はぁーと息を吐いている。 「だって、サトダさん、全然、そういうこと言わなかった」 「言わないよ。金曜日まで、部下だったし」 はぁー、と今度は私が息を吐いた。 結構普段、俺様っぽいのに、何故か律儀。 「どれくらいから?」 いつからそういう気持ちでいてくれたんだろう。 「どれくらいって?」 サトダさんが首をかしげる。 「私は、前から好きでしたよ」 というと、サトダさんが、空いている手で髪の毛をクシャリといじった。 好きだって言われて、照れる事もあるのかな。 「多分、最初の時から」 と私が付け足すと、サトダさんは 「俺もはじめっから気にはなってた」 とだけ言った。 優しくそんな事を言うけれど、多分、ちゃんと意識してくれたのは、美和さんのことがはっきりしてからかもしれない。
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