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「もう、正式に俺の部下じゃないから」
そういうと、ぐっと手を引く。
引っ張られて、近づいたところを抱きしめられた。
「嫌だったら、はっきり言って」
優しい低い声が耳の上で響く。さっきからますます動悸が激しい。
「嫌じゃないです」
「ん。よかった」
というと、ぎゅっと私を抱きしめた。
大人の男の人の匂いがする。香水なのか、シェービングクリームなのかよく分からないけど、いい匂いだと思う。
遊歩道を上がってくる他の観光客の声がした。
サトダさんに軽く頭を撫でられて、人が来る前にそっと離れる。
「行こう」
そういうと、そのまま来た道を戻るように手を引いていく。
さっきまで涼しげな公園だったのに、私だけもうなんか暑苦しい。胸が落ち着かない。
散歩コースを下って行く。
サトダさんは愉しそうだ。
私はドキドキしっぱなしで落ち着かない。
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