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「サトダさん、は、会社っぽいですかね。」 サトダだけでは上司がサトダさんを呼んでいるようだ。 口元で「佐藤さん」と言って見るけど、それで良いのか? 部長っぽいかも。いや、部長は佐藤部長だから、良いかも。 「佐藤さん? ふふふ」 自分で言って、なんだか照れる。 入社したての頃みたい。 すぐにサトダさんに慣れてしまったけど。 サトダさんは納得していないようだ。 ビール片手に面白くなさそうでいる。 「だめですか?部長は、私、佐藤部長だし、サトケンさんもサトケンさんって呼ぶんで、サトダさんだけ佐藤さんですよ」 「名字じゃなくて、大でよくない?」 そっけなく言われたけど、下の名前で呼び捨てはレベルが高い。 「サトダさん、年上だし。レベルが高いです」 つい昨日まで上司で、8歳も年上の男性を、呼び捨てにするのは、心苦しい。 そして、ただ、照れる。 「そう?ちゃん呼びでもいいわ。うちの妹は、大ちゃんって呼ぶけど」 「そうですか。私もお兄ちゃんより、悠ちゃんだから。妹さん、いくつ下ですか?」 「ん、五つ。31。地元にいるよ。この間、結婚した」 「そうですか。素敵ですね」 お兄ちゃんが五つも上で、しっかりしてて、妹さんは大事にされて育った、きっと素敵なお嬢さんなんだろう。 「素敵っていうか、ちょこまかしてる奴だけど。小さくて負けん気が強い」 妹さんの話をして、笑っているのも、素敵だ。妹さんの事、かわいいんだと思う。 ふふふっと笑っていると、 「まぁ、それはいいから、名前で呼んで」 と言われてしまった。
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