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 専務の秘書として引継ぎは、思っていた以上に大変だった。 サトダさんの補助をしていた時より、書類なんかは少なそうだったけれど、会食や移動の予約がサトダさんより多い。面会や会議の回数も多い気がする。 ひとしきり、システムを覚えるのに、精一杯頑張った。 秘書課の皆さんは、社内採用だったので、すでに私のことを知っている方も多く、親切だった。 専務も病院以来で、ご挨拶したけれど、良い雰囲気で挨拶できたと思う。 「二ノ宮さん。お久しぶり。あの時は、お見舞い、ありがとうね」 朗らかに言われた。 「いいえ、お元気そうで、何よりです。どうぞ、宜しくお願いします」 そういって、頭を下げたら、 「はい。サトダについてたんだし、覚えたら、大丈夫だから。高杉に教わって」 と言ってくれた。 そして、人事の上原さんが今週、一度、顔を出してくれた。 「どうですか?秘書課?」 「まだまだ覚えることが山積みですけど、なんとか二週間で引継ぎを終えれるように頑張ります」 「二ノ宮さん、向いていると思うので、頑張ってください」 そういって、ほほ笑んでくれた。 秘書課の先輩の西村さんが、さっそく、お茶はいかがですか?と聞いていたり、社長秘書の園田さんも挨拶に来ていたので、上原さんが秘書課でも人気なのがわかる。 上原さんは二人に挨拶すると、丁寧にお茶を断って、人事へ戻っていった。 気にかけてくれて、ありがたい。 大きな会社で、気にかけてくれる人もいるのだから、私にできるだけ頑張りたいと思う。
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