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皆さん、私がこの一週間、別の課でうまくやっているか気にしてくれたけれど、吉田君なんかは、秘書課の華やかな女性社員達のうち、だれが現在フリーかどうかを知りたいだけのようだった。
「まだ、一週間なんで、それはわからないんです」
「そうかぁ。また今度、こっそり教えてくださいね」
全然、あきらめてないようだ。
「あっ」
吉田君が急に少し離れるので、何かと思ったら、サトダさんが遅れてやって来た所だった。
「吉田、お前、二ノ宮さんに、迷惑かけるなよ」
そういうと、スーツのジャケットを脱いで、私から少し離れた空いている席に着いた。
サトダさんの周りはいつも賑やかだ。
三木さんがサトダさんの隣にいつの間にか座っている。
楽しそうににこにこしている。
盛田さんとおしゃべりしていると、盛田さんが
「二ノ宮さん、最近、聞いてなかったけど、彼氏は?いい人できた?」
と聞いてきた。
かなり前に、女子会で「どう?」と聞かれて、「いませんね」と話していたから、その後どうなのか?という事なんだけど、どう言っていい状態なのかわからない。
会社内の飲み会で、プライベートなことを聞かれるようになっただけ、一年前より確実に進歩している。
斜め向こうに彼は座っている。
社内恋愛は禁止とかでもないけれど、まだ日が浅い。
サトダさんは上司と部下でなくなるまで、付き合わないということにあんなに気を使っていたから、言わないほうがいいのだろう。
でも嘘はつきたくない。
「そうですね。好きな人はいますけど」
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