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好きな人はいる程度で押さえておけば大丈夫かと思って口に出した。 「え、そうなの!? 誰?  どういう人?」 盛田さんの声が大きくなって、周りの目が集まる。 困った。 「盛田さん、また今度の機会にします」 なるべく和やかに話を断った。 「ええ、そう。聞きたいなぁ。絶対今度ね!」 周りの同僚も「えー。聞きたかったなぁ」とざわめいたけど、そこは大人で後追いしないでくれる。 ちょっとサトダさんの方を見ると、こっちのざわめきに気がついていたのか、一瞬目があった。 ドキリとして、慌てて目をそらしてしまった。 「盛田さんこそ、最近、旦那さんと仲良くしてます?」 話を振ると、盛田さんが、「それがさぁー」と共働きの苦労について話し始めてくれた。 森本さんがビールを飲みながら、 「いやー、きっと旦那さんにも言い分があるんですよ」 なんていって、無駄に盛田さんの怒りを買っている。 「えー、佐藤チーフって、上原さんとゴルフするんですかぁ?」 三木さんの明るい大きな声がこっちまで届く。 梶君も一緒に色々質問したりしているようだ。課長も加わって、サトダさんの周りがにぎやかに盛り上がっている。 サトダさんはいつも人気だ。 後輩の質問に、なにか答えて、ビール片手に笑っている。 あの人が好きだ。
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