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「杏、好きだよ」 頭をなでて、抱きしめられる。 「はい。私も大さんがすごく好きです」 返事をしたら、急にぎゅっと抱き上げれた。 「きゃっ、サトダさん!?」 「ハハ。杏、名前!」 そのまま、びっくりしてるうちに寝室へ運ばれて、ベットの上にそっと下された。 口元が楽しそうに笑っている。 目は熱くて、その目で見つめられたら私は逃げられないのに。 「杏」 この状況で名前を呼ばれて、息が止まりそうになる。 「俺、無茶苦茶にしそう。嫌だったら言って」 ひどいのか優しいのかわからない。 「嫌じゃないです」 ずっと恋焦がれてた。 夜中に、そっと、かわいらしいお話をよんで、この人の息に耳を澄ませて、この人が私に指一本触らないことに焦れていた。 私の返事を聞くと、やさしいキスをした。 それが次第に激しくなって、熱くなる。 サトダさんの目で見つめられたら、私は身動きが取れない。 見つめられて、捉えられて、体中をサトダさんのものにされる。 まるで食べる動物と食べられる動物のようだ。 食べられることに喜びを感じているんだから、それは可笑しなことだけど。 激しく私を抱いて、ものすごく優しく私の名前を呼んだ。
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