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『本気の好きな人、できたんだ?』
美和に言われたセリフが頭を回る。
二ノ宮杏。
美和とちゃんと話して、もういいんだと思えた。
勝手に自分に科せていた責任も、必要のないものだったと分かったし、美和は幸せそうだった。
それに実際に向き合って、美和への気持ちだって、あの頃のものとは全く違った。それは美和の方でもそうだ。あの頃とは違う。
もう前に進んでもいいんだと思う。
だけど。
二ノ宮杏は、あんまりに近くにいる。
会社で会えば、微笑んでくれるし、話しかければ楽しそうに応対してくれる。毎日、そんな風に過ごしているけど、それは部下だからだ。
夜にかける電話だって、それだって、どこまでが部下としての親切心なのか分からない。元々、俺が仕事で忙しすぎて寝れていないと思ったところから始まった遊びだ。
彼女はいまだに親切心だけで、電話に応じているのかもしれない。
もし俺が上司だから、仕方なく付き合っているんだったら、最悪だ。
仕事から切り離したい。
これはプライベートの、仕事からは完全に離れた二人での遊びなんだと教えたい。
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