杏ちゃん

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にぎやかな課の連中の飲み会が一次会では終わらずに、二次会へと流れていく。 二ノ宮さんは、一次会で帰ると言うから、通りのタクシーに手をあげて、乗り込ませる。 ドアを押さえて、タクシーのドア側の座席に彼女が座るのを見ていると、見上げた彼女と目が合った。 眼の端が紅い。 俺を見上げて、視線を止めるから、ドキリとした。 そんな目で男を見たらいけない。 背後の同僚たちのざわめきで、我に返る。 「お疲れ様でした」 と、どうにか口に出すと、 「ありがとうございました」 と二ノ宮さんが頭を下げた。 思わず「明日、電話する」と約束のように告げていた。 明日は東京だ。
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