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くみちゃん
中途採用で入った地元の企業で働いてもうすぐ一年になるけど、私はそこですこしだけ未だに浮いていた。
理由は、新社員歓迎会での大失敗だと分かっている。
地元唯一の大手企業で、オフィス、家電製品の製造販売をしている、この会社に四月に中途入社して、海外事業部に研修に回された新卒社員数名と、ちょうど同じ時期に中途で入った私は、一週目の終わりにさっそく歓迎会に誘われた。
お酒はあまり飲めないのに、乾杯からビールを飲んで、注がれるままに少しずつ口をつけていたら、結構酔ってしまった。
一週間、一緒に働き始めて、すこし仲良くなりかけていた社員さんたちもお酒がすすんで、少し個人的な質問を飛ばしてくる。
「二ノ宮さんは、中途だよね？ どうして前のとこ、辞めたの？」
さっと上手に嘘をつけるような人なら良かった。
正直が一番なんて、誰が言ったのだろう。
「セクハラです」
あまりに端的に答えてしまった。
誤魔化して、後で噂になるよりはましだと思ったのだ。
「え？まじで」
「どんな？」
男性社員の興味本位の質問に、私の酔いも混ざって、すこしはっきりと物を言いすぎた。
「取引先の方から、電話口で喘げというようなことを言われまして……
上司が対応しないんで、組合に訴えて……
居づらくなって、やめました」
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