二ノ宮さん

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その夜、十時過ぎに知らない番号から電話がきた。 「佐藤です」 サトダさんが自分の携帯で電話してきた。普段、会社で聞いてる声なのに、自宅で聞くと妙に緊張する。 なんで、私に電話する気になったのか? ビジネスホテルにいるサトダさんは、暇なのかもしれない。 もしかして、少し酔っているのかもしれない。 「本当に朗読なんか聞きたいですか?」 「うん、二ノ宮さんが読んでくれるんなら、聞きたいですねぇ」 電話の向こうで、くすっと笑っている。 「そうですか。いいですよ」 サトダさんがプライベートの電話で電話してくれた事に舞い上がって、わけのわからないことを始めてしまった。 「ちょっとでいいですよ。一章か二章で。俺、寝っちゃってたら、そのまま切ってください」
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