宵のエルマー

二ノ宮さん

「あ、いいよ、杉浦君、元気？」

向かいに座っている盛田さんが私より早く返事した。

「まぁまぁですね。あ、あの盛田さん、海外事業部の午後の会議、第2会議室、プロジェクター修理中なんで、第３にしてください。そっち、空いてるんで。後で、リマインダー送りますけど」

盛田さんに連絡事項があったらしい。

「あ、了解。課長に連絡しときます」

盛田さんが早速携帯にメモを入れている。

ご飯を食べ始めた杉浦さんを、盛田さんの横に座っている林さんがニコニコして見ている。

杉浦さんも、結構、整った顔立ちの人で、女性社員に人気がある。林さんもファンらしい。

「二ノ宮さん、こないだのサトダさんの書類、ありがとうございました」
と、思い出したように言われる。

先日、杉浦さんにサトダさんの東京出張中に頼まれて、私が代わりにサトダさんにお電話しながら、探し出した書類の事だと思う。

「いえ、いいですよ。あの時は、お待たせして、すみませんでした」

「いや、俺が言われたようにサトダさんがいるうちに取りに行けばよかったんですけど。会議ですっかり忘れちゃって。すみません」
と、軽く頭を下げられた。