二ノ宮さん

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隣で杉浦さんがランチを食べているので、杉浦さんに話がある部下の人が、杉浦さんの隣にやって来た。 気が付けば、私の周りが社食でもにぎやかな一帯になっている。 なるべく迷惑にならないように、さっさとランチを食べて、席を譲ろうかと思って、先輩方の様子を伺った。 盛田さんと林さんも食べ終わる位だけど、まだゆっくりおしゃべりしている。二人の話に相槌をうちながら、立ち上がるタイミングを探っていた。 その間に杉浦さんが、何か簡単な説明をして、総務課の人たちが去っていった。 総務課で、杉浦さんはかなり頼りにされているらしい。 杉浦さんが少しこっちを身体を向けたので、手にしていたお茶のコップをトレイに置いた。 「二ノ宮さん、さっきの話ですけど、お世話になったんで、今度お礼させてくださいね」 お礼なんて、私は、そんな、大したことはしていない。 「いえ、良いですよ。そんな何にも大した事してません。あの書類、用意したのはサトダさんですから」 「いや、そういう事でもないんだけど……」 盛田さんが私の後方を見て、「あ」という顔をした。 振り返ると、サトダさんが立っていて、 「俺がなに?」 と聞いてきた。
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