美和さん

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病院について、課長に言われてきた病室へ向かうと個室だった。 専務の奥さんがいらして、部屋の洗面台でお花の水を変えていた。 「あら、いらっしゃい。佐藤さん」 サトダさんに微笑んでいる。 「お久しぶりです、奥様」 サトダさんが挨拶すると、奥さんの顔が一層ほころんだ。 サトダさんは、いい男だとみんなが思うオーラが出ている。 「二ノ宮です。これ、課長からです」 お見舞いの品を差し出した。 「まぁ、お気遣い、すみませんね」 奥さんは、もうすでに箱入りのメロンが置いてあるサイドテーブルに私が渡したお土産のぶどうとお菓子を置いた。 「おー、来たか」 ベットから専務が顔を上げて、呼ぶので、二人で近くへ寄って挨拶した。 専務は、胆石の手術をして、もう1週間ほどで、復帰されるそうだ。 大事ではなくて、良かった。 専務の話し方から、サトダさんがどれだけ期待されているのかわかる。 専務が営業部長だった頃、サトダさんが営業にいた頃からの仲だという話をしてくれる。 今の営業部長の話に移って、サトダさんが営業部長と週末にゴルフに行ったという話を持ち出した。 「営業部長、調子良かったですよ。専務はしばらく、ゴルフお預けですね」 「お前、なんのための内視鏡手術だと思ってんだ」 ハハハと笑う専務を奥さんが軽く睨んでいる。 「先生はしばらく安静って言ってましたからね。駄目ですよ、佐藤さん。この人、そそのかしちゃ」 「はは。大丈夫ですよ。見張っときますから」 「なんだよ、春のコンペには出るからな」 奥さんが、困るわ、この人、と眉を寄せて笑った。 サトダさんは専務に可愛がられているんだと思う。
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