1753人が本棚に入れています
本棚に追加
タクシーに乗っても、サトダさんは、何にも言わない。
わたしも何も言えなかった。
あれは、いったい誰なんだろうか。
あの名前を呼ぶ感じ、以前、残業中に電話して謝っていた女の子達の一人だとは思えない。
なんだか必死だった。
声の奥に、真剣さがあったと思う。
それに気が付いているから、さっきから胃が痛くって、吐きそうだ。
スーツのスカートの上でバッグ抱えて、窓の外を見ている。
息をしよう。
吸って、吐く。それだけに集中する。
多分、サトダさんは反対側の窓の外を見ている。
きっと、あの人のことを考えている。
最初のコメントを投稿しよう!