美和さん

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その週も東京に行ったサトダさんは、何事もなかったように電話してきた。 「竜、もうすぐ自由になるな」 「そうですね。もうすぐ終わりです」 もうすぐ、終わり。 「エルマー、帰り道も冒険してたよな?それも読んでくれるの?」 耳元にサトダさんの低い声が響く。 まだこれを続けるつもりなのか。 「はい、そうです。カナリア島に行きますよ」 エルマーの冒険は三冊ある。 はじめの冒険で竜を自由にして、次にカナリア島にいって、最後は竜の国へ行く。 「ふうん。読んでくれるの?」 「いいですよ、サトダさんがお好きなら」 「好きだよ。聞きたい」
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