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その週末、玄関で二ノ宮悠斗と書かれたところに、サインして、悠ちゃんの”家”を訪れる。
係の人に手を引かれて、悠ちゃんが”家族の部屋”へやってくる。
「久しぶり。悠ちゃん」
「あん!」
手を振ってくれたから、今日は機嫌がいいらしい。
悠ちゃんは、私の二つ上の兄だ。
生まれた時から障がいがあって、養護学校を卒業してから、しばらく自宅で母が面倒を見ながら、一緒に暮らしていたけれど、5年前に母が腰を痛めて以来、実家から1時間ほど離れたこの施設で暮らしている。
悠ちゃんは、私が心の奥に置いている大きな箱だ。
大事だけれど、隠している。蓋をしめて。
蓋を開けると、何が出てくるかわからない。
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