百合ちゃん

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 「百合ちゃん、最近も相変わらず忙しい?」 この質問は地雷だった。 百合ちゃんは病院勤務で、正社員で夜勤もあるのだけど、最近、彼氏の家事分担がおろそかになっているらしい。 「ゴミ出すのが男の家事分担って、いつの時代? 何だ、それ。シフトだから昼間、家にいたりするけど、私だって、同じ勤務時間は働いているからね」 ウーロン茶を片手に怒っている。 でも、夜勤明けに朝方、家に帰ると、「お疲れ様」ってテーブルにメモが置いてあったりするらしい。 そういうのは憧れる。 「まぁ、もちろん良いところもあるんだよ」 言いながら髪を耳にかきあげて、少し照れる百合ちゃんは、かわいい。 「っていうか、杏の方こそ、仕事は? どう? 大丈夫?」 前の職場で、揉めた時もずっと話を聞いてくれたから、今も心配してくれる。 あの時も彼女の勇気を分けてもらって、ようやく行動出来たという気がする。 「うん。仕事は順調。たまに残業があるけど、それ位。課の人、皆、良い人だから」 これは、本当。 課長は少しとぼけたとこがあるけど、課長とサトダさんで上手くやっていると思う。社員全体の雰囲気も良い。
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